老化に伴うもの忘れと認知症の違い
人間、生きていると病気とは言えないレベルのもの忘れを来たす時があります。原因として多いのは、心身のストレスや老化です。
特に、長生きされていると人の名前や月日がとっさに思い出せないことはあると思います。これは脳のうち記憶の中心である「海馬」という場所の機能が年齢とともに低下してゆくことによるためであり、時間をかければ思い出せる程度や、メモ書きなどで対応できる程度なら「認知症」すなわち病気とは言い難いです。
ただしもの忘れの程度でだけでは病気か病気でないか(正常な老化現象の範囲内なのか)は必ずしも定まらず、問診や診察で下のような区別すべきポイントを見定めます。
正常な老化の範囲と考える | 認知症 (病気を疑う) | |
---|---|---|
障害されている機能 |
記憶力のみ (軽度の障害のことが多い) |
記憶力は明らかに障害されており、記憶力以外も障害があることが多い (道に迷う、理解ができない、幻覚を見る、怒りっぽさが抑えられないなど) |
症状の自覚 |
ある (ご自身で心配されることが多い) |
ないことが多い (「自分は病気ではない!」と強く否定する方もおられる) |
日常生活への支障への影響 | ほぼ無いか、メモ書きなどで代替できる | 支障あり (徘徊で警察に保護される、買い物や料理ができない、仕事が遂行できない、人間関係がうまくいかない、犯罪をするなど) |
脳の状態が正常範囲か病気か判断する上でMRI検査結果データは参考にはなりますが、上の表のように「日常生活で支障をきたしているか」などは検査では判別困難なため、しっかりと問診や診察をさせていただくことが重要です。
もの忘れや他の「脳のせいかな?」と思われる症状、具体的には性格が変わったり幻覚を見たりなどがあれば、診察や検査は社会保険や国民健康保険が適用できますので一度ご受診ください。
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